オレガオモウコト

俺の愛している人は、結婚しています。

その笑顔が見たくて

「今日は、何処に行きたい?」

「んー。特に、ここって無いかな?」

 

そうか。

よし。

前日に怖い夢を見た彼女を、俺はある場所に連れて行く事にした。

「何処に行くの?」

「着いてからの、お楽しみ。」

 

高速を使ってのドライブ。

彼女となら、また気持ちが変わる。

「景色が綺麗で気持ちいいね。」

笑顔の横顔を見て、俺は少し安心した。

 

音楽を聴きながら40分程走ると、遠くの方から轟音が響いてきた。

「なに、なになに?」

小鳥のように首を左右に振る彼女。

「あ・・・。」

大きな鳥のように優雅に空を飛ぶ飛行機が、俺たちの視界に入ってきた。

「佐藤さん・・・飛行場に行くの?」

「そうだよ。」

「すごーい!」

 

車を駐車場に止め、俺たちは飛行機が見える場所に立った。

「わぁ・・・すごい。すごいね、佐藤さん!」

そう言って子供のようにはしゃぎながら足早に歩く彼女を、俺は後ろから目を細めて眺める。

すると。

「もーー、髪の毛が・・・。」

余りの風の強さに、彼女の細くて長い髪が少しもつれてしまったようだ。

「貸して。」

俺は手ぐしで軽く整え、彼女の手にあったヘアクリップで髪を上でまとめた。

「あ、ありがとう・・・。」

彼女の目は、また青く広がる大空へ。

 

悠然と地に下りてくる飛行機と、颯爽と空に向かって飛び立っていく飛行機が、何機も俺たちの目の前を通り過ぎていく。

「すごいね・・・かっこいいなぁ。」

彼女の笑顔は、途切れる事がなかった。

「ありがとう、佐藤さん。」

俺は彼女の左肩を抱き、嬉しそうな彼女の横顔を見つめた。

俺の大好きな、柔らかい笑顔を。