オレガオモウコト

俺の愛している人は、結婚しています。

声が聞きたい

高速での帰り道。

俺は少し疲れを感じて、SAの駐車場に車を止めた。

命の灯があと僅かで消え入りそうになった彼との対面は、俺の心に痛みを与えた。

何とも言えない寂しさと虚しさを感じた俺は、彼女の声を求めた。

 

「結美の声が、聞きたい。」

俺はシートを倒し、目を閉じて返信を待った。

そんな俺の弱ったメールに、彼女は。

「今、大丈夫だよ。」

俺は、彼女に電話を掛けた。

 

「もしもし?」

彼女の丸みを帯びた優しい声に、一瞬で俺の心は解かれた。

「電話、ありがとう。」

「ううん。今、どこ?」

「まだ帰り道の途中。SA。」

「大丈夫・・・?」

「あぁ。大丈夫だよ。大丈夫に、なった。」

「でも、声、疲れてる感じするよ・・・。」

「大丈夫。」

「あんまり、飛ばしちゃだめだからね?」

「わかってる。ごめんな、電話。」

「ううん。運転、気をつけてね。」

「わかったよ。じゃ。」

 

短い会話。

それでも、心を落ち着かせるには十分だった。

彼女の存在が、俺の心を支えてくれる。

今日、彼の所へ行って良かったと。

彼女の声が、そう思わせてくれる。

 

彼女の声が聞けて、良かった。

本当に。