オレガオモウコト

俺の愛している人は、結婚しています。

緩やかな時間

「佐藤さんは、ラージヒル。」

彼女の妙な言葉で目を覚ました俺。

うっかり、彼女の腕枕で眠ってしまったようだ。

目を開けたら、目の前に彼女の可愛い顔があった。

「何、それ。」

彼女の頬を触りながら、俺は意味不明な言葉の意味を聞いてみた。

 

「佐藤さんの鼻、ラージヒルみたいだから。私はノーマルヒル。」

どうも、俺の鼻は高くて自分は低いという事が言いたいらしい。

俺が無言で彼女を見つめているのに、彼女はまだ俺の鼻を見つめている。

「どーして、自分ばっかりそんなに鼻が高いのっ。」

どうしてと言われても。

それは遺伝子的な問題が根底にあるから、俺には何の責任も落ち度も無いんだけど。

俺の鼻を、むぎゅっと摘まむ彼女。

 

「やっぱり、ラージヒル。」

 

そうだな。

俺の鼻はラージヒルそのものだ。

そういう事にしておこう。

それにしても。

たまにはいいな、こうして彼女に抱きしめられるのも。

俺は、子供のように彼女の温かい胸に顔を埋めた。

「また寝ちゃうの?」

俺の髪を撫でながら、彼女が言う。

「寝ないよ。」

「ほんと?」

「ぐー。」

「寝てるしー。」

クスクス笑う彼女。

緩やかな時間。

そこには、幸せしかない。