オレガオモウコト

俺の愛している人は、結婚しています。

充電

 しばらく会えないという事がわかっていたせいか、昨日の彼女は、いつもより甘えん坊だった。

普段も、割とそうだけど。

 

「ねぇ、ぎゅってして。」

 

俺はまだ息が整っていない状態で、彼女を抱きしめた。

 

「汗、付いちゃうよ。」

「いいの。」

 

 

そう言って、俺の腕の中にすっぽりと収まる彼女。

さては、俺の温もりを充電していくつもりだな?

 

「来週まで会えないから、佐藤さんをいっぱい充電するの。」

 

やっぱり。

そういう所、ほんと可愛い。

 

「眠かったら、寝てもいいよ。」

「やだ。もったいないから、今日は寝ない。」

 

俺は、抱きしめたまま彼女の髪を撫でた。

静かな時間がゆったりと流れて行き、俺の体の汗も引いた頃。

何やら、彼女がゴソゴソと動き始めた。

 

この動きは、まさか。

頭のベスポジ探し。

 

彼女は自分の意思とは裏腹に、睡魔に負けて眠りの世界に行ってしまった。

あんなに寝ないと張り切っていたのに。

 

スヤスヤと眠る彼女の穏やかな寝顔を、俺はずっと眺めていた。

俺といる時に安心してくれる事が嬉しくて、思わず目を細めてしまう。

 

小一時間経った頃、彼女は目覚めた。

そして、開口一番。

 

「どーして起こしてくれなかったのー。」

 

俺にとっては、想定内の言葉。

わかっていたから、起こそうか迷ったんだけど。

 

「まだ時間があるから、大丈夫だよ。」

 

俺はもがいている彼女を抱きしめ、心を宥めた。

 

「佐藤さんばっかり充電して、ズルいと思う。」

 

「そうやって拗ねてる顔も、好きだよ。」

 

彼女は口元を緩ませ、笑顔で俺に抱き着いてきた。

俺の背中に両手を回して、思いっきり。

 

だから、それをしたらだめだと言っているのに。

 

俺たちはもう一度愛し合った。

やっぱり、彼女はわざとやっているのかもしれない。

どちらにせよ、嬉しい事には変わりないけれど。

 

結局、彼女も充電が満タンになったようだ。

 

来週まで頑張るんだよ。

また君の笑顔に会えるのを、楽しみにしているから。