オレガオモウコト

俺の愛している人は、結婚しています。

久しぶりのドライブ

 

俺たちは昨日、久しぶりにドライブを楽しんだ。

助手席の彼女は、買ったばかりのサングラスをかけてご機嫌の様子。

でも、ふいにこう言った。

 

「私は佐藤さんの顔が見えるけど、佐藤さんは私の目が見えないね?」

 

俺は「大丈夫だよ」と言いながら、彼女の左肩に手を回し自分の方へ引き寄せた。

 

 

 すると、彼女がスマホでナビを設定すると言い出した。

俺が道に迷うといけないから、と。

起動したナビのお姉さんはこう言った。

 

「200m先、左方向です。」

 

俺は、それを無視して直進した。

彼女が驚いてこう言った。

 

「佐藤さん、さっきの所左だって!」

「大丈夫だよ。」

 

ナビは軌道修正して、もう一度同じような事を言った。

 

「その先、左方向です。」

 

俺は、またそれを無視。

 

「佐藤さん!左左!」

 

「その先、左方向です。」

 

「佐藤さんってば!」

 

俺は、ことごとくナビのお姉さんをスルー。

 

「佐藤さん、どうしていう事聞かないの??」

「大丈夫だから。」

 

しばらく走り、スマホを片手に一人で焦っている彼女に俺はこう言った。

 

「結美、見てごらん。」

 

 

 

「わぁ・・・。」

 

彼女はサングラスを外し、景色を眺めて叫んだ。

 

「海、海だよ!佐藤さん!海!」

 

目的地に着く前に、俺はこの景色を彼女に見せたかった。

もしナビ通りに走れば、防音壁で景色を楽しむ事は出来ない。

だから、わざとナビを無視して海沿いの道を選んだ。

 

「綺麗・・・。」

 

俺は、その顔が見たかった。

君の喜ぶ笑顔が。

 

俺の喜びは、君の喜びを見る事だ。

また、二人でドライブしような。