オレガオモウコト

俺の愛している人は、結婚しています。

君には敵わない

 

彼女の胸の中はとても温かく、いつも俺を優しく包み込んでくれる。 

 

「どうしたの?」

 

そう彼女に聞かれ、俺は咄嗟に彼女から離れた。

 

 男の俺が甘えてどうする。

今は、彼女の不安を消してやる方が先なのに。

 

そんな事を思っていた俺に、彼女はこう囁いた。

 

「こっち、来て。」

 

彼女の目が、少しだけ潤んでいるように見えた。

 

「優しいね」

 

君はよく俺にそう言うけれど、それは逆だよ。

俺の優しさなんて、君には敵わない。

 

俺はもう一度、彼女の胸の上に顔を置いた。 

 

不安だったのは、もしかしたら俺の方だったのかもしれない。

寂しかったのは、俺の心だったかもしれないね。

 

何もかも見透かすような君の優しい瞳に、俺はいつも安らぎを感じる。

こんな俺を甘えさせてくれる君に、心が癒されていくよ。 

 

俺たちは暗闇の中で抱き合い、何度も唇を重ねた。

 

そのすべてを、深い暗闇が綺麗に隠してくれた。