オレガオモウコト

俺の愛している人は、結婚しています。

君に愛されていれば

 

「あと30分ぐらいで出れそうです。」 

「わかった。今から行く。」

 

俺は、車のキーを持ってすぐに家を出た。

そして、夜の道を走った。

彼女との約束の場所へと向かって。

 

 

 俺は暗い街の中で彼女を見つけ、車に乗せた。

そして、すぐに車を出し、彼女の地元から離れた。

 

「こんばんは」

 

彼女は、少し照れたように言った。

俺は彼女の肩を抱き、俺の体に引き寄せた。

 

彼女は、安心した子供のように俺の胸に顔を埋めた。

 

やっぱり、少し不安だったんだな。

俺はそう思った。

 

「夜の闇って、私たちを隠してくれるから、好き。」

 

彼女はいつものように俺の横顔を見つめながら、そう言った。

 

彼女が夜に出掛けるのは危険な筈だ。

ましてや、日曜日に。

それでも、彼女は俺と会う事を望んだ。

よほど何かを不安に感じていたんだろう。

 

俺は車を止めてエンジンを切り、助手席のシートを倒した。

そして、横になった彼女の髪をそっと撫でながら聞いた。

 

「どうした?」

「うん・・・。」

 

彼女は、静かに話し出した。

 

「昨日、浮気してもいいよなんてメールして、怒った・・・?」

「いや。」

「 どうして?」

 

俺は黙っていた。

 

「ねぇ、どうして怒らないの?」

 

 

 

「ねぇ、どうし・・・」

 

俺は彼女を強く抱きしめ、おしゃべりな唇を塞いだ。

そして、

 

「他の女なんか、俺には必要無いから。」

 

そう彼女に言った。

彼女は口元を緩め、満面の笑みで応えてくれた。

 

俺は、君さえいてくれればいい。

他の女には興味なんか無い。

それは、君も同じ筈だ。 

 

だから、何も心配しなくていい。

何一つ不安に思う事なんか無い。

 

俺は君を愛し、君に愛されていれば、それだけでいいんだ。

 

俺は暗い闇の世界で、彼女の温かい胸に顔を埋めた。