オレガオモウコト

俺の愛している人は、結婚しています。

かけがえのないもの

 

俺と彼女の家の中間地点に、大きな池のある神社がある。

その池には沢山の亀と鯉が泳いでいて、彼女のお気に入りの場所になっている。

 

駐車場に着き、俺たちは手を繋いで木々の道を進んでいく。

そして、参拝を済ませ、いつものようにその池へと向かう。 

 

 彼女は身を乗り出し、池の中の様子を伺う。

俺は彼女を残し、こっそりある物を買いに行く。

 

「はい。」

 

俺が亀と鯉の餌を彼女の手に渡すと、嬉しそうに笑顔でこう言う。

 

「ありがとう。」

 

 小さな袋に入った餌を、彼女はいつも楽しそうに投げる。

出来るだけ体の小さな鯉に餌をあげたいのに、大きな鯉に邪魔されて中々上手くいかない彼女。

餌やりに集中し過ぎるから、俺はいつも心配になり後ろから彼女の腰を掴む。

放っておくと、池に落ちてしまいそうで。

 

「餌、無くなっちゃった・・・。」

 

まだやり足りない彼女に、俺はもう一つ餌の袋を手渡す。

 

「あ、ありがとう・・・。」

 

はにかむ彼女の笑顔に、俺はたまらなく愛しさを感じる。

 

緑の木々たちに囲まれ、彼女の中でゆったりとした時間が流れていく。

自然や生き物たちと触れ合う事で、きっと彼女の心は癒されていく筈だ。

 

そうする事が、俺の役目だと思っている。

彼女が池に落ちないように、腰を掴んで離さない事も。

 

彼女の笑顔は、俺を癒してくれる。

彼女との時間が、俺を幸せにしてくれる。

どちらも、俺にとってはかけがえのないものだ。